H : 手紙 1
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私が目を醒ますと、乾いた石床が頬を擦った。
ココは何処だろう……。目だけでぎょろぎょろと見回しても映るのは色のない石だけだ。ザラリと砂のような感触がする襤褸布を捲りあげてのそりと身を起こすと、充満した砂漠の空気が鼻腔へ侵入する。ずいぶんと広い部屋だ……。いや、まるで境目の分からぬ石床と石壁が、覚醒めたばかりの感覚器と脳を錯覚させているだけかもしれぬ。
ゆっくりと振り返ると、石壁にポッカリと穴を開けたように鈍い黒の鉄扉がある。しかしよく見ればそれは穴であるどころか、まるで造られて爾来一度も開いたことがない壁のように堅牢だ。果たしてココはかの頻婆娑羅王が幽閉され終には餓死せしめられた七重の牢がごとき獄であろうか。
私は呆けたように天を仰いだ。そこに天はなく、雲も陽も星もなく、やはり四方の壁と区別のつかぬ石たちが遥か高く蓋のように覆い被さっている。手の届かぬ高さに一ツだけ設えられた窓にだけは蓋がなく、微かな青を望むことができた。窓からは生温い風が弱く吹き込んで砂埃を緩やかに循環させ、舞う塵は射す光に照らされて熱くなる。
そこでようやく私は懐の感触に気がついた。古ボケた、一通の書簡……。
題名も、差出人もない……。節くれ立った手指で掠れる紙を開く。何かが書かれている。しかし、何が書かれているのかまるで分からぬ。これは私が使う言葉や文字だったのだろうか?
※問題文中の文章はすべてフレーバーテキストであり、問題内容とは関係ありません。この問題は画像だけで解くことが可能です。